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編集部オススメのテーマ
第27回: 短いけれど充実の本:小説編
短くても読み応えのある本はまだまだ続きます。第三弾は、小説。
これぞ煩悩文学
『犬―他一篇 (岩波文庫)』
中 勘助 / 岩波書店 / 420円
「銀の匙」を書いた中勘助のダークサイドが炸裂した猛毒愛憎劇。屈折した恋心に引きずられ、思いびともろとも魔術で犬になった老婆羅門僧の醜悪だが真に迫る心理描写には息がつまる。名文家であるだけに、言葉のナイフは怖ろしい程に冴えている。婆羅門を殺し、人身を回復した女の願いを、神が文字どおり叶えてしまう結末の救いのなさ。無明の闇を凝視する著者の底知れぬ憤怒が、地割れの奥で音をたてているようだ。
アナーキズム童話
『ラムラム王』
武井 武雄 / 銀貨社 / 1,575円
武井武雄(1894〜1983)は絵本挿絵や創作童話、豪華を極めた「造本芸術」の粋を集めた刊本作品集…とにかく膨大な仕事を残した『童画』家。武井氏(の一側面)を代表するこの絵物語の主人公は、お伽の世界の貧乏な珊瑚削りの家に生まれた「フンヌエスト・ガーマネスト・エコエコ・ズンダラー・ラムラム王」という長名の男の子。彼が空想世界を縦横無尽に駆け巡る物語世界は唯一無二。もちろん武井氏の絵心爆発の挿絵が全編に収録。
家族の風景
『プールサイド小景・静物 (新潮文庫)』
庄野 潤三 / 新潮社 / 円
淡々とした日常の情景から、家族や夫婦といった身近な人間関係を静かに丁寧に描写した作品集。飾り気のない語り口ながら、登場人物の心の葛藤とそれを反映した小さな行動一つ一つが、読後に深い余韻を残します。
あっという間のオチ
『極短小説 (新潮文庫)』
/ 新潮社 / 円
英単語55語、日本語にして200字以内の、その名の通り「極短」小説157作品を収録。文字数の制約ゆえに無駄な描写は一切なく、テンポ良くシニカルなオチへと導かれる。1作品ごとに添えられた和田誠さんのイラストも見応えあり。
話は短し、余韻は長し
『長距離走者の孤独 (新潮文庫)』
アラン・シリトー,丸谷 才一,河野 一郎,Alan Sillitoe / 新潮社 / 円
盗みを働いた罪で感化院へ入れられた非行少年。権威に憤り、反抗し、自らを貫いてみせるさまを描いた表題作のほか、7編の短編が収録されている。なかでもひときわ印象に残るのは「漁船の絵」。別れた夫婦のその後を淡々と綴っているだけにもかかわらず、読後はひたひたと切ない気持ちに。
大人のための恋愛ファンタジー
『トリツカレ男 (新潮文庫)』
いしい しんじ / 新潮社 / 380円
オペラ、三段跳び、サングラス集め、ハツカネズミ…次から次へといろんなものに夢中になるジュゼッペ。そんな彼が、寒い国からやってきた風船売りの少女・ペチカに恋をした。ペチカにトリツカレたジュゼッペが、悲しい過去を抱えた彼女のためにとった行動とは…? 愛することのむずかしさと素晴らしさに涙。
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バックナンバー
第28回: 短いけれど充実の本:マンガ編
第27回: 短いけれど充実の本:小説編
第26回: 短いけれど充実の本:エッセイ・名言集編
第25回: 短いけれど充実の本:古典編
第24回: 笑う門には……目に飛び込んでくる笑い!
第23回: 笑う門には……ハッピーをゲットする笑い!
第22回: 笑う門には……失笑必至!シュールな笑い
第21回: 笑う門には……宗教・思想と笑い
第20回: 年末総決算!新書編
第19回: 年末総決算!マンガ編
第18回: 年末総決算!サブカル編
第17回: 年末総決算!小説編
第16回: 世代間コミュニケーションギャップを打ち破れ!
第15回: 機械との対話はここまできた!テクノロジー最前線
第14回: マイナー言語のディープな世界
第13回: お手本にしたい書簡アレコレ
第12回: お馴染みの食材に意外な真実!
第11回: 悪食礼賛
第10回: 頭で食べる!食解剖
第9回: 思わずヨダレが出る食エッセイ
第8回: 古の人々に思いを馳せる、歴史を感じる旅
第7回: 巡礼・修行を体験する本
第6回: あの小説の舞台は?
第5回: ふらり、ひとり旅がしたくなる本
第4回: 思わず手にとる!?本のデザイン
第3回: 本屋さんについてもっと知りたい!
第2回: 本が読みたくなる本
第1回: これからの10年どう生き抜く?