生物の行動は、単に刺激に対する物理反応ではない。さまざまな種に分かれた生物は、それぞれが独特の知覚と行動を可能にする認識世界(環世界)を作っている。驚くべき多様性をみせる環世界こそが、生命の「生き残り」のための土台となっている。「一水四見」という仏教的な認識論とも通底するユクスキュル(Jakob von Uexküll)の言葉は、いまも読者に新鮮な驚きを与えてくれる。本書からさらに一歩踏み込んだ日高敏隆『動物と人間の世界認識―イリュージョンなしに世界は見えない』(ちくま学芸文庫)と併せて読むと、より理解が深まるだろう。